11月23日
朝7時起床。
でも、また眠れなかった。
昨日は9時30分に寝て、11時、2時30分、5時と二時間置きに目を覚まして買い付けの事を考えていた。
昨日のノルマ分と今日のノルマ分を合わせたら凄いノルマだ。
もう頭からノルマの金額が離れない。
グルグル周って頭を締めつける。
あーやめてくれぇー。
とりあえず食堂に行って、固いフランスパンとクロワッサンを食べに行こう。
今日は例のボーイの兄ちゃんじゃない。
フロントのテカテカオヤジと双子のような少しテカテカのオヤジだ。
どう見ても同一人物に見えるが、これが別人なんだよな。
でも兄ちゃんよりこの少しテカテカオヤジの方がよっぽど愛想がいい。
カフェを持って来てくれたらちゃんと「ボナペティ」って言ってくれるし。
いいよな、どうぞ召し上がれっていう感じが。
それに比べて昨日の兄ちゃんの愛想悪いったりゃありゃしない。
今時の若いもんはって兄ちゃんの為の言葉だよ、わかったか。

今日は同行の彼女が帰るはずだったのだが、やっぱりもう1日同行しますという事になった。
帰りの電車を予約してあったというので、それの取り消しと予約変更に東駅まで行く事にした。
この駅は地方に行く為の始発駅でもある為、たくさんの人がいる。
大きい駅だし人も多いので、近くのメトロよりちょっと雰囲気が違う。
彼女が窓口で交渉している間に怪しそうな人発見。
私のように独り言をブツブツ言って人に近づいていく。
私は独り言は言うけど人に近づいていくほどの変わり者じゃないよ。
うぉー目があってしまった。
やばい。
ここで目をそらせば近づいて来られ、耳元で独り言を囁かれるかもわからない。
じ-っと凝視したまま、目を離さなかった。
相手が目をそらすまで、ず-っと見てやった。
こいつちょっと違うぞって感じ取ったのか、向うの方へ行ってしまった。
やった、勝利。
変な奴降参。
どっちが変な奴かわからないけど。
彼女も無事予約変更できたようなので、パッサージュ巡りへと繰り出す事にした。

メトロから地上に出ると怪しい雰囲気。
黒人の青年がたむろしている。
なんだかスラム街のようだ。
パッサージュめがけて歩いていると、建物の玄関にミニスカートのお姉ちゃんが立っている。
あっちにもこっちにも。
建物の入り口に真赤な別珍のカーテンがある。
あーこれはまさしく、あの有名な歓楽街。
大変な事になってしまった。
とんでもない場所に来てしまった。
お姉ちゃんは立ってるし、呼び込みのお兄ちゃんもいるし。
朝の早くから、商売熱心なお姉ちゃんとお兄ちゃん達だ。
20歳そこそこの若い子もいる。
ぎゃー、おばちゃんもミニスカートか。
おばちゃんまだまだ元気だね。
やはりおばちゃんは若い子には負けるんだね。
若い子より少し離れて団体で立ってるじゃないか。
ミニスカートのおばちゃんの団体もちょっときついよな。
ブヨブヨだし、決してナイスバディーではないぞ。
朝から立ってるという事は昨日は仕事にありつけなかったのか。
そんなミニスカートじゃ足元から冷えるよ。
もう年なんだから、そんなに頑張らなくても。
大変なんだね、おばちゃんも。

やっと怖い歓楽街を抜ける。
あの界隈では決して写真を撮ってはいけないとガイドブックに載っていた。
撮りたかったけど、我慢した。
撮ってたら今頃私はあのおばちゃん軍団のリーダーになっていただろう。
悔しい、ナイスショットだったのに。
パッサージュに着いたが、残念。
12時からOPENなんだって。
仕方ない、出直すか。
ここから近いフォーラムデアールというショッピングセンターに行く事にした。
ここでインテリア雑貨と洋品雑貨を程よく購入。
ライティングもいいのがあるが日本と電圧が違うため諦める。
電化製品もおしゃれなデザイン盛りだくさんで買って帰りたいけど、やはり諦める。
唯一電池式のラジオを発見。
電池だから大丈夫だよな。
周波数とか関係あるんだろうか。
電気系統に詳しいシャッチョウに聞くしかないか。
とりあえず数点買っておこう、失敗しても大丈夫なように。
荷物も多くなってきた。
一旦ホテルに戻ろう。

荷物が重いのでタクシーで帰る事にする。
ガードマンにタクシー乗り場を聞く。
ガードマンはあっちと指差し教えてくれた。
あっちの方に歩いていくと大通りに出た。
でもタクシー乗り場は見当たらない。
バスが走っているのを発見。
やっぱバスにしよう。
ホテルの近くまで行くバスを探すが、バス停が見つからない。
メトロを発見。
メトロで帰るかっていう事になったのだが、なぜかバス停を探す。
もういったい何で帰るねん、はっきりしてくれよ、自分にツッコミをいれる。
やっぱりバスで帰ろう。
バス停をやっと発見する。
5分待っても来ない。
行き先の所に何か紙が貼ってある。
一緒に待っていたおじさんに何て書いてあるのか聞く。
通る道が以前と違いますよって書いてあるらしい。
一応私達が帰る道にはその紙は関係なかったみたい。
遅いなぁ。
ほんとに来るのか。
諦めて、メトロにしようか。
しばらくして、やっとバスが来た。
急いで乗り込んだけど、今来た道を戻ってる。
げっ、ひょっとして逆方面に乗っちゃったんじゃないだろうね。
運転手に聞いてみた。
大丈夫、あんたが行きたいとこにちゃんと停まるよ。
よかった。
ボタンを押し、無事希望のバス停で降りる事ができた。

お昼はどこにするか。
ヴェネチア出身のシェフが経営するイタリア料理屋に行く事にした。
場所がわかりづらいのでホテルからタクシーで行く事にする。
今日はテカテカオヤジではなく綺麗なお姉ちゃんがフロントだ。
お姉ちゃんにタクシーを呼んでもらう。
5分程するとタクシーがやってきた。
タクシーの運ちゃんに行きたい場所が書いてあるガイドブックを見せる。
運ちゃん場所がわからないのか、地図を出してきて調べ始めた。
大丈夫か、運ちゃん。
道わかんないって嘘言って、遠回りするんじゃないだろうね。
運ちゃんは場所がわかったのか走り始めた。
メーターが変な動きしていないかチェック。
大丈夫、ボッタクられてなさそう。
無事到着。

うなぎの寝床のようなお店で、奥に奥に通された。
煙い。
この部屋はスモーク部屋か。
煙草の煙充満で前がよく見えない。
換気扇まわせよ。
喉と目がやられるじゃないか。
皆よく平気だな。
この空気の悪い中、イカスミのパスタとグラスワインを注文する。
イカスミが運ばれてきた。
へぇー、ホタルイカなんだ。
味薄い。
イカスミパスタって言えばもっとイカの味がするはずだろ。
ガーリックの味も全然しないし。
コクがなさ過ぎるんだよ。
ホタルイカがいけないんじゃないか。
ほんとにヴェネチア出身のシェフか。
パスタのゆで加減はまずまずなのに、もったいないね。
さあそろそろ買い付けへと出発するか。
ウエイター、チェックプリーズ。
カードを渡し、サインをする。
どうしてカードを返してくれないんだ。
裏で偽造カード作ってんじゃないだろうね。
おい、カード返せよ。
あー、忘れてたって、嘘つけ、裏でカード読み取ってたんじゃないのか。
油断大敵。

雨が激しく降っている。
傘持ってきていたのに、ホテルに置いたままなので、高級百貨店で高級な傘を買う羽目になった。
ショップで傘売ってるのに、他のショップで傘買うほどバカらしいものはないよ。
でも雨で濡れて風邪引いて熱なんか出た時には買い付けどころじゃなくなる。
渋々高級百貨店で一番安い傘を購入する。
文具売場を発見。
面白い文具がないか物色をする。
おしゃれな封筒を発見。
大量購入開始。
おしゃれなノートを発見。
値段を見て諦める。
おしゃれなカレンダーを発見。
これを買ったらシャッチョウに半殺しにされる。
カレンダー買ってくるわってシャッチョウに言ったら、「お前アホか」って言われた。
どうして買っちゃダメなのかわからなかった。
フランスと祭日が違うだろ。
そっか、祭日が違うから、買っても無意味なんだ。
あーよかった、フランスに来る前に気づいて。
だからカレンダーには目もくれず。

パッサージュが開店している時間だ。
雨の中、高級傘をさしながらパッサージュ巡りをする事にした。
朝来た道なので、なんとなく憶えてる。
途中で地図を見ていたら、中学生ぐらいのクソ坊主にカツアゲされかかった。
何で中学生のクソ坊主にカツアゲされなきゃならないんだ。
あんた、立派なローラーブレードはいてるじゃないか。
お金欲しいんだったらそのローラーブレード質屋に入れて金にしてこい。
誰があんたに金なんか渡すものか。
あっちへ行きな、このクソ坊主。
クソ坊主はローラーブレードですごすごと退散した。
買いつけ行商人をバカにするんじゃないよ。
娼婦街を少し北上する。
2度目の娼婦街なのでちょっと平気。
パッサージュに到着。
手作りのアクセサリー屋を覗く。
ここのスタッフのお姉ちゃんは凄くおしゃれ。
そのお姉ちゃん手作りのヘアーピンを購入する。
マフラーと帽子のお店を発見。
めちゃくちゃかわいい。
個人的に欲しい。
絶対欲しい。
あー欲しい。
値段を見て諦める。
やっぱりな、高いはずだよ。
古着屋を発見。
ここで大量に帽子を購入。
USEDだけど程度がいいし、デザインもおしゃれ。
このお店気に入った。
ここのスタッフのお姉ちゃんは凄くおしゃれできれい。
レジに行くと「ありがとうございます」と日本語で言われた。
めちゃくちゃきれいな日本語だ。
「日本語上手ですね」って言ったら、「半分日本人ですから」って。
だからか、でもハーフに見えないよ絶対。
どこから見てもきれいなエキゾチックな東洋人だ。
モデルか?って思うほどきれい。
こんなきれいな人が町の中歩いてるのか、凄い国だフランスっていう所は。

違うパッサージュに移動する。

カフェで着物を着た婦人と紳士がいるのを発見する。
何かの撮影のようだ。
でもちょっとどこか違う。
安っぽい着物だし、帯の結び方もどこか変。
外人から見れば安っぽい着物だろうが高級な着物だろうが、どれも一緒に見えるんだろう。
何の撮影だろう。
西洋の風景をバックに東洋人を撮る。
ポストカードや古書を売っているお店を発見。
そこの店主はおじいちゃんだ。
ポストカード1枚いくらか聞いてみた。
おじいちゃんは私にもわかるようにゆっくりしたフランス語で教えてくれた。
このおじいちゃんかわいい。
おじいちゃんにかわいいなんて失礼だが、ほんとにかわいいおじいちゃんだった。
おもちゃ屋発見。
カエルマニアの私にとっては絶対買わないといけない物を発見。
それは何か教えたいが、内緒。
だって、他のカエルマニアに横取りされるかもわからないだろ。
だから内緒。

またまた違うパッサージュに移動する。
パリで唯一の日本語入力が出来るインターネットカフェに行く。
メールをチェックしたら、お誕生日おめでとうのメールが入っていた。
そうなんだ、今日は私の誕生日なんだ。
誕生日をパリで過ごすなんて、なんて幸運な女なんだ。
BBSに書き込みをして今日のパッサージュ巡り終了。

タイヤで有名なミシュランのシュップに行く。
ここでマスコットボーイのビバンダム君を購入。
このビバンダム君も握るとピューッて鳴くんだ。
なぜ人形はピューッと鳴くのが多いんだろう。
基本中の基本なのだろうか。
3体購入したら、ここのスタッフが3体握って一斉にピューッと鳴らしてくれた。
これはサービスなのか。
今日の買い付け終了。
一番にぎわっているメトロでホテルまで帰る事にする。

今日の夕食もスーパー。
パックに入ったサラダとワッフル、ワインを買う。
このスーパー騒々しいな。
ガードマンが男の人の首根っこをつかんでスーパーの外に放り出した。
男は大声で文句を言い続けてる。
「何だよ、このスーパー。俺様を誰だと思ってんだ。こんな事されてタダですむと思うなよ。」らしき事を言ってるんだ、きっと。
強そうなガードマンマンは入り口に立ったまま睨みをきかしている。
あー怖いスーパー。
私はレジでお金を払い、袋に入れようと思ったが、ここのスーパーの袋は有料らしい。
レジのお姉ちゃんが「袋何枚?」って私に尋ねた、と思う。
私はお姉ちゃんの言ってる事がわからず、無言で立ち尽くす。
お姉ちゃんは「2枚なの?」って聞いた、と思う。
私はわからないまま「ウン、ウン」とうなずく。
袋代を払い、買った物を袋に入れてスーパーを出た。
スーパーを出た途端、親切おばさんが、「お姉ちゃん袋1枚しか貰わなかったでしょ、レジの姉ちゃん袋2枚分レジ打ってたよ」って教えてくれた。
やっぱり、そうだったのか。
レジのお姉ちゃんは「2枚?」ってずっと言い続けてたもんな。
多分袋の事を言ってるんだろうなって思ってたんだけど、面倒くさくなって適当に「ウン」って言った私がバカだった。
ほんとは袋1枚しか貰ってないのに。
その事を強そうなガードマンに主張する。
ガードマンはレジの姉ちゃんに説明する。
レジの姉ちゃんは私に向かって大声で「私が袋2枚かって尋ねたら、あんたウンって言っただろ。だから2枚分のお金貰ったんだよ」
あー悔しい。
フランス語が話せたら言い返すのに。
そこで、すかさず買い付け同行人の彼女登場。
ガードマンに「彼女フランス語わからないんです」
ガードマンはレジの姉ちゃんに説明する。
レジの姉ちゃん切れながら私に袋代を返金する。
姉ちゃんかなりおかんむりだ。
私が適当に返事したから、私が悪いんだけどさ。
でもなんか嫌な気分。

本日の買い付け歩数:19572歩