2001.5.30
朝7時起床。
起床といっても朝方に少し眠れたぐらいで、胃は最悪状態。
朝ご飯をどうするか考えた、胃の事を考えたらやっぱりおとなしくホテルのレストランでビュッフェにするか。
3星ホテルなのでレストランのビュッフェなんてたかがしれてるだろうと思っていたが、結構立派なので驚いた。
自分の好きな具をチョイスしてその場でオムレツを作ってくれたり、パンの種類も5種類ぐらいある。
一番嬉しかったのは中華粥があった事。
胃にやさしい食べ物発見。
私は中華粥にザーサイをトッピングした。
その横に大きなせいろがある、凄く気になる。
蓋をされてちゃ余計に見たくなるじゃない、 この時点で私は胃の事なんかすっかり忘れていた。
せいろの蓋を開けると、湯気がモワモワっとたちこめる。
見えた、小龍包とカニシュウマイだ。
美味しそう。
食べたい絶対食べたい。
今日は中華と洋食の朝食だ。
中華粥、小龍包にカニシュウマイ、ミルクとヨーグルト、デザートにすいか、モンキーバナナ。
何という取り合わせだろう、食い合わせが悪くて余計に胃がおかしくなるかもしれない。
洋と中の融合だ。
中華粥、美味しい。
ザーサイの塩気が、味のない中華粥とマッチしてめちゃくちゃ美味しい。
ヨーグルト、妙に甘い。
でもなんだかこの甘さ癖になりそう。
妙な取り合わせだけど満腹満腹。
さあ腹ごしらえもすんだ事だし、胃痛の種のオーダーメイドに繰り出すか。
昨日夢にまで出てきてうなされた魔のオーダーメイド、このハードルをクリアしないと私はずっと胃痛と戦う羽目になる。
とりあえずもう一度市場に行ってコットンの生地を探そう。
ホテルから1歩外に出た、あー今日もまた始まったよ、シクロマン、バイタク、物売りの子供。
でも昨日よりは声をかける人が少ないな、どうしてだろう。
ひょっとして私の格好が日本人に見えないのかい。
バカンスのOLは渋谷や代官山で歩くのと同じような小奇麗な格好をしている。
私の格好はTシャツと、パジャマにしようと思って持ってきたパンツ、どこから見ても小汚い日本人?っていう格好だ。
でもこのパンツ楽なんだよ、どこにでも座れるし、ウエストはゴムだからいくら食べてもお腹を気にしないですむ。
本当はジーンズを履くつもりだったんだけど、この暑さ、もう耐えられない。
それでパジャマを履いたというわけさ。 このパジャマ洗濯もせず、汗まみれ、泥まみれになりながら帰国の日まで履きつづけた優れものだよ。
こんな格好だからシクロマンやバイタクの目には留まらなかったんだな。
いいぞ、この調子でもう現地人になっちゃえ。
道路を渡るのも昨日の特訓のおかげでかなり慣れてきた。
ベトナム人に少し近づいてきたぞ、第一段階突破。
市場に到着。
さあ、生地を探そう、コットンコットン。
シルク、リネン、ウール、違うんだよ、私はコットンを探しているんだ。
あっ、あった、コットン発見。
違う、こんなんじゃない、薄すぎるよ、カッターシャツを作るんじゃないんだ。
もうこの辺り何往復した?シャッチョウがコットンって言うもんだから、私も必死になった。
英語が通じないおばちゃんにつかまった。
電卓はじいて数字見せてくれるけど、何言ってるのかさっぱりわからない。
きっと1メートルいくらだよって言ってくれてるんだと思うけど、おばちゃんこの生地2メートルしかないじゃない、もっと欲しいんだよ。
もうわかんないかな、私の日本語。
また違うおばちゃんにつかまった。
おばちゃんはシルクをつかみ「ソ連、ソ連」を連発している。
「あーこれはソ連のか?」と私、おばちゃん「ソ連、ソ連」
おばちゃん、私はシルクはいらないんだよ、それもソ連のシルクなんて聞いた事もないよ。
ベトナムシルクよりも立派なのかい、それじゃちょっと考えてみるけどね。
同じ所をぐるぐる周り探したけど全然見つからない。
シルクやリネンは山ほどあるのに、気に入ったコットンが見つからない。
あーまた胃が痛くなってきた、体力の限界だ。
もう無理だ、いくら探してもコットンなんて見つかりっこない、もうやーめた。
シャッチョウに殴られてもいいや、テーラーに戻ってシルクで作っちゃえ。
諦めが肝心さ、さあ次は昨日下見しておいたサンダルを買いに行こう。
あったあった、サンダル。
お店のお姉ちゃんが浴槽で使うプラスチックの椅子を持ってきた。
ここに座わってって言ってるぞ、 よっし、ここからがベトナム商売人対日本代表商売人の戦いだ。
「1足いくら?」と尋ねた、お姉ちゃんは日本語で「○○ドン」って答えた。
安い、安すぎる、でも私の顔は高い、高すぎるって言う顔をしていた。
カバンから魔の電卓を取り出し、お姉ちゃんの顔面めがけて提示してやった。
この値段にしてくれ。
お姉ちゃんは「ノー」とはっきり言った。
ここから私はか弱い日本人になった「ディスカウント、プリーズ」「プリーズ、プリーズ」 お姉ちゃんに手を合わせ拝む格好で「プリーズ、プリーズ」これでもだめなら、「メニーメニージャパニーズフレンドいっぱい来るよ」「お姉さんナイスバディー、ビューティフル」知ってる英単語を片っ端からまくし立てた、それでもだめなら泣く真似をしてみた、お姉ちゃんは舌打ち「チェッ」ってしながら「オッケー」っていってくれた。
やった私の勝利だ、 やっぱり粘るが勝ちさ。
お姉ちゃん私を甘く見ちゃいけないよ、私はバカンスOLとは違うんだから、買い付けでベトナムに飛ばされた生粋の商売人だよ。
お姉ちゃんは嫌そうな顔してる、変な日本人につかまったもんだっていう顔してる。
でもそんな事私には関係ないさ。
私は安く買えりゃそれでいいんだもん。
お姉ちゃんは満面の笑みで「サンキューベリーマッチ」と私に靴を渡してくれた。
なんなんだその満面の笑みは、ひょっとして私やられたのかい、本当はもっと安くできたんじゃないかい。
きっとそうだ、絶対そうだ、本当はもっと安いんだ、クッソー、お姉ちゃんの勝利だよ、完敗だよ。
いい勉強になったよ、恐るべしベトナム姉ちゃん。
荷物がいっぱいになってきた、両手がふさがったらスリ、ひったくりに対処できない。
とりあえずホテルに戻って荷物を置きに帰ろう。
途中でまたもや寄り道、昨日サンダルをオーダーした「ZAKKA」で、昨日市場で買った生地を持ちこみ、スカートをオーダーしよう。
このお店はいいよ、日本語が通じる、細かな注文も全部日本語で出来るからめちゃくちゃ楽。
今日もオーナーがいる、少し話して「何か飲み物飲まれますか?」って聞いてくれたので、これってご馳走してくれるって言う事かなって思ったけど、「いいんですか?」ってご馳走してくれるもんだと思って答えてる自分が恥ずかしかった。
オーナーは隣のお店で7UPを買ってきてくれてご馳走してくれた。
喉めちゃくちゃ乾いてたんだよ、ホテルからミネラルウオーター持ってくるの忘れてたから、7UP一気飲みしちゃった、 ゲップ。
オーダーのスカートは、私のサイズで、デザインは「ZAKKA」で置いていたスカートと同じデザインにした。
もう明日出来上がるらしい、楽しみだ。
さあ今度こそホテルに帰ろう。
あっ、かわいいバッグ発見。
いいじゃないこのバッグ、ボタンの花の刺繍だけどちょっと洗練されてるっていう感じ、いいね。
さあ、魔の電卓交渉開始。
なかなか値段が下がらない。
いろんなお店を回って気づいたんだけど、外人旅行客相手のお店って、いい商品置いてるかわりに「ディスカウント」が通用しないんだよな。
ディスカウントって言われても「ノー」って言えばお客さんは買ってくれるだろうと思っているみたいで、全然まけてくれない所もあった。
強気の商売だね。
でもこっちも商売がかかってるんだ、「ディスカウト」の連発攻撃だ。
降参したのか渋々ながらお姉ちゃんは少しまけてくれた、やった。
お姉ちゃんは帰り際「サンキューベリーマッチ」と満面の笑みで玄関まで見送ってくれた。
だからなんなんだよ、その満面の笑みは、また私はやられちまったのかい。
今さっき嫌そうな顔してたじゃないか。
そのスマイルは営業スマイルで、勝ち誇ったスマイルじゃないだろうね。
こういう所がベトナム人の摩訶不思議の一つでもあるんだよな。
さあ本当に寄り道はこれぐらいにしてさっさっとホテルに帰ろう。
ホテルに到着し荷物を置いてちょっと休憩。
時計を見たらもう2時前じゃない、 こりゃ大変だ、昼ご飯の事すっかり忘れてたよ。
ここからまた移動するのも疲れるし、そうだ近くに美味しいと評判のベトナム料理屋があった。
決めたら即実行、オープンエアの 「タンナム」に行く事にした。
あっ、1組の先客発見、それも日本人。
おばさんとそのおばさんより若い男の人。
その人達の前の席に案内された。
するとおばさんは「○○ツアーの方ですか」と話しかけてきた。
私は「違います」と答えた。
それからそのおばさんと若い男の人のことが凄く気になった、なんなんだこのカップルは。
こりゃ昼ご飯どころじゃないぞ、私の大好きな人間ウオッチング開始。
若い男の人は黒のサングラス、黒の長袖のシャツ、黒のズボンと黒ずくめだ。
おばさんはというと、1人で気ままに旅行してる、典型的な日本のおばさんっていう感じ。
耳がダンボになってきた。
若い男の人は現地のコーディネーターのようだ。
バリバリの日本語だが、おばさんが「ちんさん」と呼んでいたからきっと中国人だろう。
一人旅のおばさんとコーディネーター、それだけ聞くと別にどおってことはないんだけど、なんだかそのおばさんの行動が妙に引っかかるし、その若いコーディーネイターもうさんくさい。
気になる、凄く気になる。
おばさんがトイレに行った隙に、若いコーディネーターはレストランのオーナーとこそこそ話しをしている。
なんだろう、今度もまたお客連れてくるからマージンを要求しているのかな。
あっ、握手してるぞ、商談成立か。
それからおばさんと若いコーディネーターは、しばらく世間話をしながら食事をしていた。
その間も私の耳はダンボのままだ。
やっぱり変だ、おばさん若い男の腕を握り締め、体を密着して出て行った。
なんだかホスト通いしているおばさんのようだ。
あっ、おばさーん、鞄忘れてるよ。
若い男に夢中になりすぎてちゃだめだよ、鞄忘れてどうするんだい。
やっぱり変だよおばさん、そんな事で無事に日本に帰れるのかい、いろんな旅行者がいるもんだ。
おばさんと若い男のやりとりで私は食事どころじゃないよ。
でもしっかり頂くものは頂いたのさ。
揚げ春巻き、焼きそば、ワイン。
揚げ春巻き、最高、いくらでも食べられる、うまいうまい、うますぎる。
焼きそば、カレー味なんだよな。
それはそれで美味しいんだけど、揚げ春巻きには負けるね。
1人前の量が多いからまた残しちゃったよ、いろんな物をちょっとづつ食べたいのに、ベトナム料理は量が多すぎる。
さあお腹もいっぱいになったし、魔のオーダーメイドにとりかかるか。
頭痛いな、どうしよう。
とりあえず、見本の洋服を持ってテーラーを1件1件周るしかないな。
目星をつけていたテーラーに行った、でも気に入る生地がない。
違う店に行こう、あっここいいじゃない、ここでワンピースを作ろう。
「ハウマッチ」・…高い高すぎる。
また違う店、あっここ靴がかわいい。
服のオーダーのはずなのに靴を買っちゃった。
もうどうすりゃいいんだ、また胃が痛くなってきたよ。
もうひとつ目星をつけていたテーラーに行ってみよう。
おっ、いい生地あるじゃない、このワンピースかわいいね、スカートもいいじゃない。
もうここに決めよう。
そんなこんなでスカートとワンピースを5枚作る事にした。
あーこれでちょっとは気が楽になったぞ。
とりあえずまた一旦ホテルに戻ろう。
ホテルのボーイさんはもう私の顔を覚えているらしく、何も言わずに部屋のキーを手渡してくれる。
そりゃそうだろうな、ここに書いている以上に私は何度も部屋に戻って、荷物を置きに行っているんだから嫌でも覚えるだろうよ。
荷物を置いて今度は地元の本屋に行く事にした。
何か面白いものがあるかもしれないと思っていたので、本屋巡りは楽しみにしていたのさ。
本屋に行く途中でまたかわいいバッグ発見。
めちゃくちゃ手が込んでる刺繍だ。
配色も凄くかわいい、これは買いだね。
大事に抱えて本屋に行く事にした。
夕方だから本屋は学校帰りの学生でいっぱいだ。
みんな立ち読みじゃなく座り読みしている。
これじゃ本屋も商売上がったりだ、と思いきや、 レジは長蛇の列、みんな本を10冊20冊と買ってるよ。
どうしてそんなにも本を買うんだい、今日は特売日なのかい。
レジの横には化粧品が並べられている、その横には時計が置いてある。
こんな光景日本では考えられないよ。
本屋で化粧品なんか売れるのかな。
やばっ、外は凄く暗くなってきた、ピカッ、光った。
ひょっとしてスコール。
ザァー、スコールだ、傘持って来てないよ、最悪。
スコールだったらすぐ止むだろう、もうちょっと本屋で時間を潰すか。
2階にもなんかあるぞ、2階に行ってみよう。
階段を上がると中2階で子供達が何か作っている、ここは工作室だな。
2階は子供でいっぱいだ、偽スヌーピー、偽キティーちゃん、偽物満載だ。
教科書かな、それとも参考書かな、そんな本がいっぱいあった。
思った事はただ一つ、紙の質が非常に悪い事。
わら半紙の教科書?参考書?なんか見たの初めてだよ。
それだけ日本は紙の質がいいという事なんだろうな。
1階に降りて面白い本がないか探そう。
店員さんが話し掛けてきた、なんかベトナム語で話し掛けてくれてるけど、何話てるのか全然わからない。
店員さん、私はベトナム語わからないんだよ、「ソーリーね」
でもこの雨全然やみそうにないな。
凄い土砂降りになってきたよ、雷も凄いしね。
面白そうだから、本屋の玄関の階段に座って外を眺めていよう。
知らない間にバイタクの溜まり場になっている。
バイタク元締めのおばちゃんもでてきてるよ。
本屋のお客さんは、止みそうにない雨を見て諦めたのかみんなバイタクで帰っていく。
それを手際よく元締めのおばちゃんが仕切ってる。
凄いね、元締めのおばちゃん。
1時間ぐらいその光景を眺めていたけど一向に雨が止む気配はない、それどころかひどくなる一方だ。
風も強くなってきて、雨が本屋の中にまで入ってきた。
定員さんはシャッターを締め出した。
あー今日は本屋で一晩明かすのか。
お腹もすいてきたし、ここで泊まれば炊き出しあるのかな。
いつも食べ物の事ばかりを考えている私。
レジの方をふと見ると、みんな小さなビニール袋に入った物を買ってるよ。
何だろう、気になる、私もちょっと見てみよう。
わぁー、レインコートだ。
簡易レインコート発見。
黄色、白、青、ピンク、4色もあるよ、それも値段は40円。
買う買う、絶対買う。
私は女だから絶対ピンク。
淡いピンク色で広げると白かピンクかわからないぐらいの微妙なピンクだ、黄色にすりゃよかった。
まあいいや、とりあえずこれを着て帰ろう。
買ったバッグを濡れないように持って、こんな事もあろうかと私はビーチサンダルはいていたのさ。
役に立つね、ビーチサンダル。
雨は小降りになっているけど、水はけが悪いから、道路は大きな水溜りだらけ。
私はそんな事も気にせず、ビーチサンダルで水溜りの中をバシャバシャと歩き出した。
なんだか子供にかえった気分だね。
ホテルについて、びしょ濡れのままロビーに入ったらボーイさんに怒られた。
レインコートは外で脱いで、玄関にあるポーチラックに掛けてくれって言ってる。
ポーチラックに掛けたまま放置したら誰かに盗られるじゃないか、40円もしたんだよこのピンクのレインコートは。
ボーイさん怒ってる、仕方ないな、外で脱いで丸めて鞄の中に入れるか。
その光景を一部始終見ていたボーイさんは、やっと私をホテルの中に入れてくれた。
もう少しで門前払いされる所だったよ。
ちょっと疲れた、雨も降っている事だし、部屋でちょっと休憩しよう。
1時間ぐらい休憩したかな、時計を見ると8時になっていた。
雨もまだ降っているし、近くで晩御飯食べるか。
炊き込みご飯が美味しいという有名な「ナムアン」に行った。
おーここのお店の雰囲気いいね、 オープンエアーで緑が多いよ、いい感じ。
って思っていたのもこの時だけだったんだよな、実は。
ここからが今回の旅行の抗議の始まりだったんだよ。
さあ今日は何を食べるかな。
ここは鳥の炊き込みご飯とエビちくわが美味しいらしい。
よしっ、決まり、それを頂こう、ウエイターに炊き込みご飯とちくわを注文する。
ウエイターが異様にテーブルの周りをうろうろしているぞ。
なんなんだ、どうしたんだ、おかしいこのウエイター。
友人のマルボロをずっと見ている。
「あんたの、マルボロずっと見てんで」
あっ、ウエイター指を1本出した。
「何やの、あんたタバコ欲しいん?」とウエイターに聞いてあげた。
ウエイターはうなずく。
友人に「あんたのタバコ1本欲しいんだって」って言ったら、友人はウエイターにタバコを1本あげた。
なんちゅう店や、お客にタバコねだるなよ。
まあいいか、外国タバコがめずらしかったんだろう。
それにしても、料理が遅いな、後から来た人の所にはもう料理が運ばれてるぞ。
またウエイターがうろちょろしはじめた、今度はなんなんだい。
自分のライターをこれ見よがしにカチャカチャしながら見せている。
だからなんなんだよ。
兄ちゃんは「チェンジ」って言ってるよ。
兄ちゃん図に乗るにもいいかげんにしてくれよ、ちょっと甘い顔すりゃいい気になりやがって、兄ちゃんのライターと友人のライターを交換してくれだと、甘いんだよ。
兄ちゃんのライターはちゃんと火がつくのかい、騙されないよ。
はっきり「ノー」って言ってやった。
兄ちゃんはあっけなく退散した。
そんな事より料理はどうしたんだよ、もう30分以上も待ってるぞ。
その事にやっとウエイターが気づいた、遅いんだよ気づくのが。
またメニューを持ってきやがった、「さっき注文したってば」
オーダーが通ってなかったみたいで、もう一回オーダーしてくれって言っている。
なんなんだよ、この店は、この時点で私は切れかけ寸前だった。
またさっきと同じ物を注文して「ハリーアップ」ってウエイターを怒鳴った。
すぐにピーナツとザーサイが運ばれてきた、この付きだしはなんだ。
さっきのお詫びのしるしかい。
周りを見渡すと白人、現地人のテーブルには運ばれてこない、日本人のテーブルにはある、
これってひょっとして。
料理がやっと運ばれてきた。
でももう待ちすぎて気分悪くなってきていたんだよな。
仕方ない、一口でもいいから食べてみよう。
このちくわ大きいな、炊き込みご飯も2合分ぐらいあるぞ。
その量を見ただけで益々気分が悪くなってきた。
美味しいらしいのだが、私は気分が悪いのと腹立たしいのとで食事どころじゃない。
もう早く帰ろう、料理も半分ぐらい残し「チェックプリーズ」
ウエイターは伝票を持ってきた。
なんなんだってこの伝票の数字は。
わけのわからないものとられてるぞ。
説明しろ、ウエイター。
兄ちゃんは必死に説明し始めた、「これがワイン、これが炊き込みご飯、これがちくわ、そしてこれがピーナツとザーサイ」
プチッ、ここで完全に切れた。
「ピーナツとザーサイはノーオーダーや、だから払えへん」
日本人にだけ出しやがって、みんながみんな払うと思うなよ、私は絶対払わへんからな。
伝票を叩きつけて抗議した。
兄ちゃんは慌ててレジに行きウエイター会議を開いている。
戻ってきてまた同じ伝票を持ってきた、「だから言うてるやろが、ノーオーダーや、ノーオーダー」
完全に切れてる私は大声で怒鳴り返した。
ウエイターはまたまた慌てて今度はオーナーに相談に行った、始めからそうすりゃいいのに、イライラするな。
相談の結果、私の勝利。
こんな店二度と来るか、日本に帰ってから「地球の歩き方」に投書してやるからな。
めちゃくちゃ気分悪い。
帰りに他の日本人のテーブルを見た、やっぱりあったピーナツとザーサイ。
頑張れ日本人、一緒に抗議しようじゃないか。
このままホテルに戻るのも何だかなぁ、腹立たしい気持ちを押さえないと。
近くのレストランで甘いものでも食べるか。
揚げパイナップルとワインを頼んだ。
変な取り合わせだけど、揚げパイナップルめちゃくちゃ美味しい。
ちょっと気分が落ち着いてきたぞ。
イライラしてる時には甘いものに限るね。
満足したからそろそろホテルに帰って寝るか、「チェックプリーズ」
今度はなんなんだい、サービス料となんやかんやで15パーセントもとられるのかい。
まあいいか、美味しかったし、さっきの店よりましだ。
でも中途半端な金額だな、ベトナムは100ドン札までしかないんだろ、その下の中途半端な数字はどうなるんだい。
とりあえず払うか、ウエイターの兄ちゃんはつり銭を持ってきた。
おい、つり銭足らんぞ、さっきの中途半端な数字は切り上げかい。
そんな事だったら最初から切り上げた数字で請求しろよ。
なんちゅう国やベトナムは。
だから摩訶不思議やねん。

前の日  次の日