2002.1.29
朝7時起床。
昨日の夜は前日の寝不足と疲れもあって10時に寝た。
でもそんな早い時間に寝たもんだから、夜中に目がさめて、3時にお風呂に入った。
変な夜を過ごしたもんだから、余計に疲れた、それとベッドのスプリングが柔らか過ぎなんだ。
私は神経質なんだよ、枕が替わっただけでも寝れないのに、スプリングが柔らけりゃもっと寝れないよ。
このスプリングのおかげで後々私は大変な目にあったんだから。

胃は元気なほうだったので、地元民御用達の『ニューラン』というパン屋に行く事にした。
前回は道に迷ったが、今回は大丈夫。
バインミーが美味しい事で有名なんだ、バインミーってフランスパンのサンドイッチなんだけどね。
私はニューランのバインミーにするか、横の屋台のおばちゃんのバインミーにするか凄く迷った。
地元民はバイクに乗ったままおばちゃんのバインミーを買っている。
私もチャレンジャーだ、おばちゃんのバインミーにする事にした。
でもいくらなんだろう、バイクにまたがるお姉ちゃんがいくら払ってるか見てみた。
お札2枚払ってる、でも何のお札かわからない、私は2000ドン札2枚と1000ドン札1枚を用意した。
バインミーを受け取りおばちゃんにお札を見せると、おばちゃんは首をかしげながら全部横取りした。
おばちゃん今首かしげたね、私は見逃さなかったよ、私は3000ドンか5000ドンのどっちかだろうと思っていたんだ。
なんてバカな事をしたんだ、2000ドンだけだしてみて、もし足らなかったらおばちゃん何か言うだろう、その言葉を待ってたらよかったのに。
お金全部見せたら、おばちゃんは上機嫌で「おーこの日本人気前いいね」としか思わないだろう、私って本当にバカだよ。
ニューランのバインミーは3000ドンって書いてあったんだから、屋台のおばちゃんのバインミーがそれより高いはずないじゃないか。
5000ドンって45円なんだけどさ、気分的になんか嫌な気持ちになった。
ブルーになりながら、ホテルに戻ることにした。
バインミーを一口食べてみた、あまり美味しくない。
おばちゃん忙しすぎてヌクマムふるの忘れたんじゃないか、味しないよ、そのかわり唐辛子の輪切りが辛い、パンは凄く美味しいのに。
前回食べたバインミーは最高だったのに、やっぱりニューランのバインミーにすりゃよかった。

気を取り直して、市場に買い付けに行くか。
近くのベンタン市場に行こう、昨日調査済みの靴屋で靴を買う事にした。
その前にちょっと市場巡りでもしよう、前回は雨季だった為、生物の匂いが強烈すぎて、ハンカチで鼻を押さえないと息ができなかったんだ。
今回は乾季でとても過ごしやすい、汗も全然かかないし、匂いも殆ど気にならない。
突然、ベトナム姉ちゃんの軍団に遭遇した。
店先でベトナム姉ちゃんがプラスチックの椅子に座り綺麗に並んでいる。
その数も20人、20人みんながみんなこっちを向いて座っている。
怖いのとビックリしたのとで私は急いでその場から立ち去った。
あのお姉ちゃんの軍団はなんだったんだろう、マニキュア塗りとセロンマの美容部員だったんだろうか。
でも本当に怖かったよ、知らない人が見たら、歓楽街のお姉ちゃんと間違うよ、そんな雰囲気をかもし出していた。
とりあえず、靴屋に行こう。
さあまたここで交渉だ、靴屋のマダムは新しい商品だといって新商品を出してきた。
日本人に人気があるって言っている、なるほどねマダムのいうとおり日本人に人気があるデザインだ、よく勉強してるね。
値段を聞くと私が前回苦労して値切った金額じゃないか、あの長い長い交渉はなんだったんだ、泣く真似までして、もうあとは土下座するしか方法がないぞっていうぐらいお願いしたのに。
たくさん買ってくれたらもっとおまけするよってマダムは言った。
まったく、バカにしてるよ、ほんと日本人はいいカモだ、この市場も観光化されすぎたんだね。
食べ物の物価は安いのに、身につけるものなんかそんなに日本と変わらない。
そりゃ多少は安いけど、食べ物の物価からすると靴1足はとんでもない値段だ。
靴1足でバインミーが死ぬほど買える、それぐらい高い。
もうこの店では泣く真似もしないし、ナイスボディーも連発しない、だってナイスボディーって言えないぐらいマダムは太ってんだから。

市場を後にし、前回生地を持ちこみスカートをオーダーした『ZAKKA』に行こう。
今回はバッグを作ってもらおうと思って日本でデッドストックの生地を買い込んだんだ。
わざわざ日本から生地を持ってきたんだ、重たいのにね。
日本人の定員さんに「生地を持ってきたんですけどバッグを作ってくれますか」って尋ねてみた。
定員さんは「生地の持込でのオーダーはお断りさせて頂いているんです」と言う。
「前回生地を持ちこんでスカートを作ってもらったんですけど」私
「オーナーにお断りするように言われているんです」定員さん。
「前回はオーナーに言ったら作ってくれたんですよ」私
「オーナーは私達にはお断りするように言うんですけど、お願いされたら断れないようで・・・」定員さん
「ダメですか?」私
「お客様の生地に何かあったときは責任がもてませんので、申し訳ございませんが」定員さん
「そうですか、日本でデッドストックの生地を買って持ってきたんですけど」私
「デッドストックの生地だとなおさら・・・」定員さん
「そうですか、ダメですか」私
オーナーがいてればな、スプライト、7UPご馳走してくれた仲なのに。
凄く残念だ、わざわざデッドストックの生地を買いに行って、見本のバッグまで持参したのに。
作ってくれないんだったら、もうこのお店に用はない、さっさと荷物を置きにホテルに戻ろう。

ホテルに戻りお昼ご飯をどうしようか考えた。
今回の旅行で私は決心したんだ。
高級レストランには行かず、庶民のレストランでチャレンジャーになろうって。
お昼ご飯もチャレンジャーだ、市場の裏にある、地元民の人気の定食屋『タインビン』に行く事にした。
市場の裏にあるはずだが全然見当たらない、おかしいな、もう少し真っ直ぐ行こう。
定食屋らしきものは全然ないぞ、周りは果物屋ばかりだ、おーマンゴ美味しそうだね、モンキーバナナも山積みだ、違うよ私は果物屋に来たんじゃないよ。
こっちの方角じゃない、私は地図が読めない女なんだ、ちょっと人に聞いてみよう。
高級オフィスらしき建物に入っていき、アオザイを着たお姉ちゃんにガイドブックを見せる。
お姉ちゃんはこの通りじゃない、もうひとつ向うの通りでここから近いよって教えてくれた。
来た道を戻り、もう一つ向こうの通りに出た。
お姉ちゃん近いんだろう、でも洋服屋ばっかりだよ、地元民御用達の洋服屋。
おーこの洋服いいね、日本で着ても大丈夫だ、センスいいねこの洋服屋、違うんだってば洋服を探してるんじゃないよ。
道端でミシンを踏んでいるおっちゃんにガイドブックを見せて尋ねた。
ミシンのおっちゃんは『あっち』とさっき私がいた通りを指差す。
えーさっきその通り歩いたけどなかったよ、本当にあっちなのか。
道端でミシン踏んでるぐらいだから、この辺りの事には相当くわしそうだけど、でもどうして道端でミシンなんか踏んでいるんだ。
店の中でやればいいじゃないか。
また来た道を戻る、果物屋通りに戻ってきたけど、やっぱりわからない。
もう諦めようかと何度も思ったけど、もうここまで迷ったら執念だ、絶対探しだしてやる。
お腹空き過ぎてフラフラだったけど、今度は貴金属屋のおっちゃんに尋ねた。
金満なおっちゃんは『あっち』と指を指す。
みんな『あっち』『あっち』って、本当はどっちなんだよ。
また来た道を戻る、これでなかったら今度は魚屋のおっちゃんに聞くぞ。
あった、やっと見つけた、市場の真裏にあった、私が何回も往復している道の途中にあるじゃないか。
私はどこを見て歩いてたんだ、本当にバカだよ。
ここはカニの春雨炒めが美味しいんだ、私はベトナムのビール『333』とフォー、カニの春雨炒めを注文する。
すぐにフォーが運ばれてきた、丼が小ぶりでミニフォーっていう感じだ。
ここのフォーは美味しい、スープが凄く美味しい、何杯でも食べれる。
カニの春雨炒めも運ばれてきた、ヌクマムをふりかける、美味い、カニの詰めも3個入ってる
ウソもののカニかまぼこじゃないよ、本物のカニだ、カニの身と春雨を炒めただけのシンプル料理だけど、カニの濃厚な味がたまんない。
ここまで執念で探した甲斐があった、やっぱり庶民のレストランに限るね。
もう思い残す事もない、お腹もいっぱいになった事だし、仕事に戻るとするか。

スワロフスキーのビーズアクセサリーで有名なお店に行く事にした。
ここはお姉ちゃんがせっせと手作りしてくれるんだ。
リングを何点か選んで、今品切れのブラックのリングはオーダーする事にした。
「あさっての午前10時」とお姉ちゃんは言った。
あさっての午前10時にはできあがっているらしい。
本当にできるのか?ってちょっと不安だったけど、お姉ちゃんを信用するよ、「約束だからね」って何回も念を押した。
だってそのあさってに私は帰国するんだ、出来上がってなかったら日本に帰れないじゃないか。

さあ今度は昨日閉まっていた国営百貨店へ行く事にしよう。
国営百貨店っていうだけあって、周りのお店より値段が安いんだ。
お目当ての雑貨屋に行く、鞄の値段を尋ねると、「高っーい」思わず口に出してしまった。
その辺りのお店と変わらないじゃないか。
半年の間で値上がりしたのか、それともベトナムブームで日本人にだけ高く売りつけてるのか。
ベトナムブームっていうのが今回凄くわかった、どこを歩いても日本人のバカンスOLだらけ。
前回もバカンスOLは見かけたけど、こんなにもいなかった、ここはハワイのカラカウア通りかっていうぐらい、ちょっと大袈裟だけど、でも本当にそれに近いぐらいバカンスOLだらけだ。
バカンスOLのせいかどうかわからないが、前回より物価が上がっている事は確かだ。
レストランでもそうだし、日本人価格ができたんだろう。
みんな頑張って値切ろうよ、泣く真似してナイスボディーを連発しようよ、でないともっともっと物価が上がってお得感なんてなくなっちゃうよ。
高くなっているけど、このお店で大量購入開始。
英語バージョン名刺を渡し、買い付けである事をアピールする。
「この鞄はこの鞄より小さいのにどうして高いんだ」とお姉ちゃんに文句を言う。
お姉ちゃんは急いでボスの所へ行き値段交渉をしてくれる、何かにつけて文句を言う、その度にお姉ちゃんはボスの所に行き、戻ってくると値段が下がっている。
そうだよ、こうでなくっちゃね。
でも地元民だともっと安いはずだ、だって公務員の給料が1万円の国だよ。
それを私は1回の買物で使うんだから、私は上客だよ、ベンツで送り迎えしてくれてもよさそうなぐらいのVIPさ。
買いたいものも買ったし、いつもの納品書のチェック、あっお姉ちゃん数間違ってる、ラッキーだ、黙っていよう。
だましだまされ、弱肉強食の世界だからね。
合計金額を計算をしてもらったら、お金が足りなかった。
あんなにやりとりして、お金足りないからまた出なおすわって言ったら、私はこの店から出入り禁止になるだろう。
ちょっと待ってて、1階の両替屋で両替してくるから。
今回同行のシャッチョウを人質にして、急いで両替屋に行った。
いい事発見、この両替屋はいつもの両替屋よりレーとがいいぞ、今度からここで両替するか。
人質のシャッチョウの事が気になる、このシャッチョウ本当に頼りないんだ。
お金の桁数を間違って大金を渡そうとするし、道は全然覚えない、英語はちんぷんかんぷんだ。
商売人だろお金の桁数間違うなよ、いつも私に偉そうに言うくせに、ベトナムで立場逆転だ。
お店に戻るとシャッチョウがお店の人と談笑しているよ、やればできるんじゃない。
さあ、またホテルに戻ろう。

荷物を置いて、近くの雑貨屋巡りをしよう。
前回仲良くなったお姉ちゃんのお店に行く事にした。
「お姉ちゃん私覚えてる?」お姉ちゃんは「覚えてるよ。でも前回一緒に来た人と違う人だから人違いかもしれないと思って言い出せなかったんだ」って言った。
またまたそんなおじょうずな、みんなにそんなこと言ってんでしょ。
とりあえず、アクセサリーをまた買うよ。
今回は布物も買う事にした。
「今日はお姉ちゃんは?」って尋ねたら、お姉ちゃんは英語の学校に行っているそうだ。
もう学校になんか行かなくても、英語ペラペラなのに、英検でもとるのか。
このお店もあんまりディスカウントしてくれないんだ、でもお姉ちゃんに4月にまた戻ってくるからって言ったら、お姉ちゃんは少しおまけしてくれた、ラッキー。
近所にシルバーアクセサリー屋さんがあったはずなのにないぞ、おかしいな。
オーナーはカナダに移住したけど、誰かが後を引き継いだからまだお店はあるはずなのに。
発見、5軒ほど向うに移転していた、アクセサリーだけじゃなく鞄も置いている。
鞄なんか置いてなかったのに、ここも日本人観光化されつつあるんだね、日本の雑誌がベタベタ貼ってある。
ブレスレットのチェーンが短かったから長くしてってお願いした。
ここは家内工業だから、2階が工場になっているんだ。
5分も待っていれば、チェーンが長くなって戻ってきた。
値段交渉開始だ、でもここのマダムは強情なんだ、なかなか値引きしてくれないんだよ。
ほんの少し値引きしてくれたけど、納得いかないよな、同じ商品でもさっきのお姉ちゃんのお店の方が安かったりするんだ。
今回私は強引さに欠けたかもしれない、ベトナムという国に慣れてしまったのかもしれない。
だからスーパーでお釣り貰えなくても抗議する事もなくなったんだ。
こりゃやばいよ、商売人の根性を見せなきゃ、ベトナム商売人に負けるよ。

近くの雑貨屋でかわいい鞄を発見。
お店のお姉ちゃんにこっそり「ディスカウント」って言ってみた。
お姉ちゃんはオーナーの顔をこっそり見ながらディスカウントしてくれた。
なぜこっそりかというと、このお店も観光客相手のお店なんだ、観光客相手のお店は強気でディスカウントしてくれない。
値切るコツをバカンスOLに教えなくちゃ。

そろそろ晩御飯でも食べに行こう。
今日は地元民御用達レストラン『13』に行く事にした。
お店の名前がなぜ『13』かというと、ベトナムでは住所の番地をお店の名前にする所が多いいんだ。
だからこのお店は13番地。隣りのお店は19番地だから『19』
この界隈では『13』と『19』でお客さんの争奪戦が毎日繰り広げられている。
味はたいして変わりないようだが、なぜか『13』の方が人気がある。
何か隠された秘密があるんだろうか。
私は迷わず『13』に行く事にした。
でもこの『13』というお店はおかしいぞ、看板は1つでお店が3つある。
一番奥の『13』は満席で、真中は程好く空いている、一番手前の『13』は白人のお客さんがひとり。
どの『13』が本当の『13』なんだ。
看板を見たら、3店にまたがって取り付けられている、人気が出たから、増床したのか。
客引きしているお兄ちゃんに『13』って言いながら、3店を指差した。
お兄ちゃんは「全部『13』や」 らしきことを言う。
隅の方に『13-1』とか書いてないだろうな。
不安になりながら、白人のお客さんがひとりの『13』に案内された。
メニューを見ると分厚いベトナム語のメニューだ。
全然わからない、美味しいというカインチュアのつづりをガイドブックで必死に探す。
カインチュアはわかったが種類が多すぎて、どのカインチュアが美味しいのかわからない。
そこでウエイター責任者のおっちゃん登場。
私が「カインチュア」と言うと、おっちゃんは片言の日本語で「すっぱいスープ、魚、イカ、エビ、アサリ」と教えてくれた。
私は「魚」と答える。
次に私が「おかゆ」と言うと、おっちゃんは片言の日本語で「おかゆ、魚、イカ、エビ、アサリ」と教えてくれた。
私は「アサリ」と答える。
凄いよ、おっちゃん。メニューペラペラ言えるんだね、それも片言日本語で。
おかゆが運ばれてきた。胡椒効きすぎのおかゆだけど、美味しい、アサリも入ってる。
カインチュアが運ばれてきた。おっちゃんが言った通りすっぱいスープ。
このスープは妙な味だ、日本にはない味、生のトマトとピクルス、魚の輪切りが入ったスープ。
これが美味しいらしいのだが、私はパスしたい。
あれっ、シャッチョウの様子がおかしいい。
どうしたんだ、シャッチョウ。
シャッチョウは気分悪いってテーブルにうつ伏せになってしまった。
やばいよ、シャッチョウ、顔真っ青だよ、でもその事はシャッチョウには黙っておく事にした。
だってさ、「シャッチョウ、顔真っ青だよ」って言ったら、シャッチョウ益々気分悪くするだろ。
病は気からって言うじゃないか。
私はシャッチョウに「おかゆ、美味しいよ」ってすすめてみた。
シャッチョウは「気分悪いから、全部食べて」って私にすすめてくれた。
すすめてくれたら、遠慮なんかするもんか、私はシャッチョウの事を気にしながら「美味しい、美味しい」っておかゆを全部平らげた。
シャッチョウは相変わらずテーブルにうつ伏せになったまま、凄く気分悪そうだ。
でもまだあのパスしたいカインチュアのスープが残っている。
本当にパスしたいんだけど、残すのは気がひける、頑張って魚の輪切りとトマトを食べた。
やっぱり妙な味。
前回の友達といい、今回のシャッチョウといい、どうしてそんなにも体が弱いんだ。
鍛え方がなってないんじゃないのか、買い付けに来て倒れてたら話しになんないよ、何の為に来たかわかんないじゃない、しっかりしてくれよシャッチョウ。
ってそんなこと言ってもシャッチョウだからね、ちょっと気を使おう。
「チェック、プリーズ」
ウエイトレスさんが伝票を持ってきた、やっぱり金額がおかしい。
私は伝票を指差し「これは何」と聞いた。ウエイトレスさんは順番に「カインチュア、おかゆ、おしぼり、○×○×、ビール、ワイン」と教えてくれた。
おしぼりは使ってないよ、それとその○×○×っていうわけわかんない物も頼んでないよ。
ウエイトレスさんは苦笑いしながら「オー、ソーリー」って言った。
本当にソーリーなんて思っているのか、「チェッ、カモの日本人からふんだくってやろって思ってたのに」って心の中で思ってたんじゃないか。
伝票を計算しなおしてもらった。
財布の中を見ると、大変だお金が足りない。
シャッチョウをたたき起こし、「お金持ってる?」って尋ねた。
「僕これだけしか持ってない」って、それでも足りないんだよ。 本当に頼りないシャッチョウだ。
どうしよう、ここで1日ウエイトレスになって働かなきゃいけない、メニューも丸暗記しなきゃ。
無銭飲食で捕まってもう日本には帰れないかもしれない。
恐る恐る、ウエイトレスさんに「これだけしか持ってないんだ」って全財産を差し出した。
ウエイトレスさんは苦笑いしながら、「OK」って言ってくれた。
ラッキー、頼んでみるもんだ、レストランで「お金足らんから、これで勘弁して」ってお願いした日本人も私らぐらいだよ。
そんなに高い食事じゃないのに、660円も払えない日本人って、写真貼られてレストランに飾られてしまうかもしれない、そうなったら私は一躍有名人だ。
そうならない為にも早くこのレストランから逃げ出そう。
腕を捕まれた。
ビックリした、どうしたんだシャッチョウ。
シャッチョウは道端でうずくまってしまった。
本当に大丈夫なのか、シャッチョウ。

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