2001.6.1

朝7時起床。
今日の朝ご飯はどこにするかな。
ベトナムの生活にも少し慣れてきたし、胃も快調だ、今日は少し遠出をして地元の人御用達のパン屋に行って見るか。
サイゴン川まで行き、そこからサイゴン川に沿って歩いていけば「ニューラン」というパン屋がある。
朝の通勤ラッシュでバイク、自転車が凄く多い、でももうビビル事はない、りっぱな現地人だ。
シクロマンもバイタクの兄ちゃんも声を掛けてこないしね。
歩け歩けどんどん歩け、おかしい、目的のパン屋が見つからない、ひょっとして道間違っているのかな。
ここは安全地帯だからちょっと地図を広げて調べるか。
「どこ行く、何探す」シクロマンがすぐによって来た。
無視しつづけた、このシクロマンはかなりしつこい。
反対車線を逆走している、何でもありなのかい、この国は。
やっと見つけた、パン屋発見。
パンもあるし肉まんなどのお惣菜も売っている。
どれも美味しそう、ここでフランスパンのサンドイッチも作ってくれるらしい。
私はマフィンを買った。
友人はわざわざここまで来たにもかかわらず、パン屋の隣の屋台でおばちゃんにサンドイッチを作ってもらっている。
あんた、チャレンジャーだね。
お腹壊しても知らないよ、保健所行きになっても知らないよ。
さあ、持って帰ってホテルで食べよう。
なんかもう少し食べたいな、帰る途中で昨日のパン屋に寄り道。
そこで私はクロワッサンとミルクを注文した。
お金を払い、お釣りの確認、昨日は多目にくれたのに今日は1000ドン少ない。
毎回毎回、お金を払うたびにトラブル発生でもういい加減嫌になってきたよ。
「1000ドン少ないよ」 お姉ちゃんに訴える、お姉ちゃんは「3200ドンだったから、おつりは1800ドン」
「違うやん、レジは2200ドンってなってたやんか」って抗議したけど、もう何だか抗議するのも疲れてきたよ、もういいか、1000ドンはお姉ちゃんにチップだ。
1000ドンって言っても日本円に換算すると8円なんだけどね。
でも私の感覚では80円ぐらいの感覚だよ、80円も積もりに積もれば大金になるよ。
日本人は金持ちなのに、1000ドンぐらいでケチケチするなって思われているんだろうな。
さあ、今度こそホテルに帰ろう。
マフィンは普通のマフィンだった、それよりか友人の屋台のサンドイッチが美味しい。
フランスパン1本丸ごとサンドイッチ、具はレバーペースト、キュウリのスライス、ウインナーのスライス、トマト、最後にヌックマムをひとふり、めちゃくちゃ美味しい、ヌックマムって意外といけるんだね。
これで日本円にすると50円ぐらいなんだから最高だね。
日本だと500円は絶対にするよ。
お腹もいっぱいになった事だし、スーパーにでも行ってお土産でも探すか。
スーパーっていってもミニスーパーだね、コンビニに毛が生えたぐらい。
50パーセントが国内産で後の50パーセントが海外産かな。
日本の物もあるけどめちゃくちゃ高い、日本の3倍はするよ。
あっ、かっぱえびせん発見、でも商品名は「おいしい」だ、これ面白いからスタッフのお土産にしよう。
食材が面白い、何かの料理なんだろうな、野菜、調味料が分量分づつ一まとめにしてパック売りされている。
これっていわゆる日本のヨシケイみたいなもんなんだろう。
この材料全部を使って調味料を入れれば1品作れるんだろう。
ここでファンタとオレンジジュースとおいしいを買おう。
レジに持っていきお金を払った、当然の事ながらお釣りはもらえない。
もう抗議するのもばかばかしくなってきた、こんな国なんだよベトナムって。
細かいお金を持ってない私が悪いのさ、そう思わせるベトナムっていう国はなんて摩訶不思議な国なんだろう。
今度は国営の百貨店に行こう。
国営百貨店って言っても、小さなお店がたくさん入ったテナントビルみたいなもんかな。
そこでTシャツ発見。
7枚買うから「ディスカウントプリーズ」、お姉ちゃん頑固だね、なかなか値段が下がらないよ。
結局は商談決裂、また明日再挑戦するか。
ブラブラしてたら、マニュキュアのお姉ちゃんにつかまった。
お姉ちゃんは「1本1ドル、安ーい」を連発、ずっとついてくる、1階から一緒にエスカレーターに乗って2階までついてくる。
お姉ちゃん体密着してすすめ過ぎなんだよ、それでなくても暑いんだから、もうイライラするよ。
マニュキュアは諦めたと思ったら今度は「セロンマ、うぶげとり、痛くなーい」、お姉ちゃんしつこいよ、「ノー」って言っても「どうして」ってずっとついてくる。
お姉ちゃんどこまでついて来るんだい、一緒に日本まで行く気かい。
かなりしつこかったお姉ちゃんもとうとう諦めたようでついてこなくなった。
さてそろそろホテルに戻ろうか、今日のお昼はバカンスOLが徒歩で行った所に行こう。
ぼったくりタクシーに気をつけなきゃね、ホテルからタクシーを呼んでもらえば少しは安心だろう。
この場所に行きたいんだけど、タクシーで行けばいくらぐらいかホテルのフロントの兄ちゃんに聞いてみた。
兄ちゃんは15000ドン〜20000ドンぐらいだと教えてくれた。
日本円に換算すると120円〜160円ぐらいか。
安いよね、「呼んで頂だい、タクシー」
さあ、ここからがタクシーとの戦いだよ。
ちゃんとメーター倒したかチェック、場所がわからなくても地図を広げて、自分は分かっているんだよっていう素振りを見せる、大きな声で通りの名前を言う「OK、OK」ってね。
そんなこんなで、無事到着、しめて160円也。
ここはバインセオと揚げ春巻きが美味しいと評判の「46Aバインセオ」
家の軒下のような所で、おばちゃんが蒔きで1枚1枚バインセオを焼いている。
厨房?レンガで囲いしただけの所で大きなエビを炭火で焼いている、めちゃくちゃ大きな海老だね、車海老よりも手長海老よりも大きい、美味しそうだね。
ビール1本とバインセオ、揚げ春巻きを注文した。
ここの揚げ春巻きは最高だ、このつけダレが美味しいんだね、日本で言う三杯酢に人参と大根の千切りが入ったつけダレ、なますを思い浮かべてもらえばいいかな。
葉っぱにそのなますと揚げ春巻きを巻いて食べる、もう最高、 何個でも食べられるよ。
一皿10個入りだけど、あっという間に平らげる。
バインセオが来た来た、ベトナムに来たからにはこれは食べないとね、ベトナムのお好み焼き。
玉子のパリッと焼けた皮の中に海老、豚肉、モヤシが入っていて、それを葉っぱで包んで食べる。
バインセオ自体あんまり味がないんだね、タレをつけて食べないとあっさりし過ぎるかな。
ビールとバインセオ、揚げ春巻き、これだけ食べてハウマッチ、しめて390円也。
安い安すぎる、もう私は現地駐在員になるよ。
なんていい国なんだベトナムは。
お釣りもらえなくても、もういいよ、アバウトに生きていくよ。
帰って、シャッチョウに「ベトナム駐在員希望届を出そう」
さあそろそろ帰るとするか、また雲行きも怪しくなってきたぞ、こりゃ一雨来るな、流しのタクシーはヤバイから徒歩で帰ろう。
交差点で公安発見。
無事通過、なんか因縁つけられて、袖の下要求されないか冷や冷やしたよ。
ちょっと休憩、その角のカフェでお茶でも飲もう。
アイスティーを頼んだ、でも持ってきたのはホット、この暑い中ホットなんか飲めるかよ。
アイスなんだけど、氷は入れないでくれって言ったらホットを持ってきやがった。
ベトナムで氷入りの飲み物はダメなんだよ、だから氷抜きって言ったのに。
私の英語も単語連発だけど、ベトナム人の英語はほんとわかりづらい。
このベトナム英語で帰りの空港で苦労したんだから。
日本で紅茶っていえば、ミルクかレモンが多い、でもベトナムはライムなんだよな。
飛行機の機内食でもレモンじゃなくライムが出てきた、レモンは日本だけなのか。
ここのカフェで豚マン売ってるよ、食べたい食べたい。
韓国に行った時も売ってたんだ、豚マン、でも食べずに帰ってきて後悔したんだよ、だから食べたい。
友人に言ったら「気分悪いからいらない」って言う、なんて薄情な友人なんだよ、あんたチャレンジャーじゃなかったのかい。
また後悔だ、後悔ずっとするんだ、あの時食べとけばってずっと思い続けるんだ。
チャレンジャーのあんたを見損なったよ。
いいよ、諦めるよ、それじゃ帰ろう。
かなり歩いたよ、3キロ近く歩いたんじゃないかな。
とりあえずホテルに戻って、ちょっと休憩してからオーダーの服を取に行こう。
ちゃんと出来あがってるかな、どれどれ縫製チェック、隅から隅までチェックする、裏地もチェックする、「OKOKベリーグッド」
これでオーダーメイド終了、一時はどうなるかと思ったよ、凄くプレッシャーでご飯も喉を通らなかったんだから、って言うわりに食べてるよな、思いっきり。
ここには書いてなかったけど、連日連夜通い続け、ホテルの近くの雑貨屋のお姉ちゃんと親しくなった。
オーダーに悩んでいた時に、お姉ちゃんが着ている服が凄くかわいかったので、どこで買ったのって聞いてから親しくなったんだ。
そのお店はタクシーを使わないと行けないぐらい遠い所にあるって教えてくれた、するとお姉ちゃんは親切に、私がバイクに乗せて連れて行ってあげるよって言ってくれたんだ。
私は行きたいけど行けないって断ったんだよ、 これは凄く後悔している。
ベトナムに来ていろんな嫌な思いをしていたから、その時は信用してなかったんだね。
でも 帰る間際になって、ベトナムの事もお姉ちゃんの事も好きになっていたんだ。
お姉ちゃんの一言、凄く嬉しかったよ、バイクで連れて行ってもらえばよかったと本当に後悔してるよ。
そのお姉ちゃんのお店はオーナーがイギリス人で、お姉ちゃん姉妹が切り盛りしているんだ。
私はそこでバッグとシルバーのアクセサリーを買った。
さあ、ホテルにオーダーの服を置きに行って、晩御飯をどこで食べるか考えよう。
シーフードが食べたいな、でも有名なお店は凄く遠いぞ、行きはホテルからタクシーで行ったとしても帰りはどうする、お店からタクシー呼んでもらうか、でも無事に帰ってこれるのか。
明日帰るのだ、もう冒険はやめよう、やっぱり近くのベトナム料理屋にするか。
ホテルから3軒隣に「ベトナムハウス」がある、今日はそこにしよう。
2階席に案内された、わぁー日本人ばっかり、昼間こんなにも日本人見ないのにどこから沸いてきたんだ。
テーブルにはもうすでに海老せんが置いてあるぞ。
お姉ちゃんに確認しよう、「この海老せんはサービス?」「イエス」「ほんまか、お金取るんちゃうんか」お姉ちゃんは「ノー」ってはっきり言った、その言葉を信用するよ。
私は遠慮なしにバリバリ食べた、美味しい、久しぶりに違う味だ、ベトナム料理も少し飽きていたんだよ。
ベトナム料理でも今日はあっさりした物が食べたい。
ハスのサラダとソフトクラブのから揚げとアサリのスープにしよう。
初めて食べたよ、はすの茎、茎自体にはあんまり味がないんだね。
海老と豚肉とハスの茎をヌック・チャムであえ、ピーナツでまぶし、それを海老せんにのせて食べる。
あっさりして美味しい、このヌック・チャムが日本人の口に合うんだね。
ソフトクラブのから揚げは、脱皮直後のカニをそのままから揚げにしてるから、皮ごとバリバリ食べれる。
ソースは甘酢のケチャップ味、から揚げだけどそんなにしつこくないからいいね。
アサリのスープが運ばれて来たと同時にお兄ちゃん登場。
お兄ちゃんはアサリのスープを器に入れてくれた、サービスいいねこのレストラン。
お兄ちゃんは片言の日本語で「いつも日本人にはお世話になっています。私アメリカ人大嫌い」と言った、私は「何で」って聞き返す、お兄ちゃんは「歴史の問題です」と言った、私は言葉に詰まった。
ベトナム戦争ってつい最近だもんな、 まだ枯葉剤の影響もあるっていうし。
お兄ちゃんがこっそりテーブルの横にやってきた。
またまた片言の日本語で「あなたのライターと私のライター、交換しませんか?」
お兄ちゃん、さっき日本人にお世話になっていますってそういう意味だったのかい。
私ちょっとしんみりしていたんだよ、それがライター交換かい。
どうしてそんなにもライター交換したがるの、この間のレストランでもそうだったし。
日本のライターは優秀なのかい、でも中国製の100円ライターだよ。
「ノー」、お兄ちゃんは急いでどこかに消えていった。
おかしいと思ったんだよ、さっきまでホールにお兄ちゃんなんかいなかったのに、アサリのスープが出てきたと思ったらすぐにお兄ちゃんが登場したからさ。
サービスもライターの為だったんだね、がっかりだよお兄ちゃん。
3人のお姉ちゃん登場、民族音楽の生演奏が始まる。
楽器はベトナムのものなんだろうな、音楽は日本人が多い事もあって、日本の演歌や童謡。
隣の席が日本人おっちゃんグループ、かなりうるさい、あんたらもうちょっと静かにせんかい。
童謡の生演奏が始まった、ひとりのおっちゃんがすくっと立ち上がる、急に何を思ったかおっちゃん大声で歌い出した。
おっちゃんやめてよ、ここはカラオケじゃないんだよ、みんな食事しに来てるんだ、おっちゃんののど自慢を聞きに来てるわけじゃないんだよ。
最初から最後まで歌うな、他のおっちゃん手拍子せずに止めろ。
同じ日本人かと思ったら恥ずかしくなるよ、ここは高級レストランだよ、場所をわきまえろ。
お姉ちゃんの音楽に合わせて手拍子するな、キャバレーかなにかと間違ってるんじゃないか。
こんなおっちゃんが鼻の下伸ばしてホンダガールに付いて行って、身ぐるみはがされるんだろうよ。
旅の恥はかき捨て、おっちゃんあんたの事だよ。
もううるさすぎる、早く帰ろう、荷物の整理もしなくちゃなんないし。
ホテルに戻り荷物の量を見てまた胃が痛くなった。
もっと多いと思ったのにボストン1個分少ない、シャッチョウの怒っている顔が目に浮かぶ。
もう明日帰るんだから、今から探しに行けないよ、もういいや、シャッチョウに殴られたら言ってやろう「今度はお前が行け」って。


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