2001.5.31

朝7時起床。
昨日のレストランは本当に気分悪かった。
気づかなかったらいいお店だったよねで終わるんだろうが、気づいたが最後断固として抗議しないとね、これこそ「ノー」と言える日本人だよ。
さあ,今日の朝ご飯はどこにするかな。
昨日は魔のオーダーメイドもめどがたったし、今日は胃の調子もいいんだ。
ちょっと外で食べるかな。
やっぱりベトナムに来たからにはフランスパンだよね。
テイクアウトも可能な「パリスデリ」に行こう。
私はそこでフランスパンを頼まず、鳥のミンチが入ったデニッシュパンとミルクを注文した。
お金を払ってお釣りをもらった、あれっおかしいぞ。
ベトナムではめずらしくレジを使っているのに、お釣りが異常に多い。
これはサービスかい、昨日のレストランとは大きな違いだぞ。
まあいいか、少なかったらまた抗議だけど、多いんだから「ベリーベリーサンキュー」だね
ここはいいパン屋だ、 毎日来てもいいぐらいだ。
パン自体は美味しいが、具がどうも、なんか変な感じ、 鳥のミンチが入ったデニッシュパンか。
パン屋の前にお洒落なお店発見。
わぁー、めちゃくちゃかわいい。
めちゃくちゃ日本人好みだ。
コースター、ランチョンマット、全部ワンポイントの刺繍がしてある。
竹や桜の刺繍。
洋のデザインと、どちらかというと和のデザインを融合させたバッグやポーチがいいね。
私はこのお店が凄く気に入った。
大量購入開始。
洋服もかわいいけど、欲しいカラーがないな、黒がいいんだけどな。
お店のお客さんでかわいくラッピングされた袋を持っている。
私はすかさず聞いてみた「そのラッピングかわいいですね。どこのお店で買われたんですか?」するとバカンスOLは私に丁寧に教えてくれた、ありがとうOLさん。
私は今回日本人のOLを捕まえてはどこで買ったか聞きまくっていた。
見ず知らずの人にいきなり声を掛けられて、バカンスOLはビックリしていたけど、みんな親切に教えてくれた。
ショップの客層と同じような人が何を求めているか、聞いてみるのが一番手っ取り早いからね。
それで今度はバカンスOLに教えてもらったお店に行ってみることにした。
わぁ、いいねこのバッグ。
少数民族の人が作った布と現在の布をパッチワークしてある。
古い物と新しい物の合作だ、いい味出してるよこのバッグ、即買いだね。
なんかまた大荷物になってきた、ホテルに一旦戻ってまた出直すか。
ホテルに戻って地図を広げ、今度はどこに行こうか考えていた。
そうだ、 この間行った市場よりもう少し遠いヤンシン市場に行ってみよう、その市場のほうが庶民的だし、物も安いって書いてある。
少し遠いが2キロぐらい歩けるだろう。
ベンタイン市場を通り抜け南に下っていった。
違う、何かが違う、今まで歩いてた通りとは雰囲気が違いすぎる。
通りの匂いも違う、この道であってるんだろうか、地図を広げて見てみたいけど、今ここで地図を広げれば観光客だとわかってしまう。
わかってしまえば身ぐるみはがされそうな雰囲気だ。
見たいよ地図、絶対道間違えてるよ。
通りでは、あきらかに盗難品だとわかるような物を地面に置いて売っている。
やばい、やばすぎる、私のバッグも5分後には地面に置かれて売られるかもしれない、引き返そう、走って逃げたいが、ここで走って逃げれば余計に変だ、追いかけられてホンダガールにされるかもしれない。
私は現地人だよっていう顔をして、余裕の表情でベンタイン市場まで戻ってきた。
あー、怖かった、もう生きて日本に帰れないと思ったよ。
とりあえずどこか落ち着ける場所を探そう、そうだこの近くに「フォー2000」があったはずだ。
今日のお昼はフォーにしよう。
私はそこでフォーガーとミネラルウオーターを頼んだ。
しばらくするとまた出てきたよ、20円のおしぼりと揚げパンが。
またお金取られるのかい、もうこりごりだよ、すぐにウエイトレスのお姉ちゃんを呼んで「この揚げパン下げて」ってお願いした。
これで伝票には書き込まれないぞ。
きたきた、フォーだよ、フォー。
ライムをぎゅっと絞って、一口食べてみる。
うーん、なんだろうこの味。
きっと鳥のスープなんだろうけど、何かの味が凄く強いぞ。
合成の調味料の味かな、ひょっとして味の素?
香草の味もほのかに漂ってくる、 何だか不思議な食べ物だ。
そろそろオーダーの服も出来あがってる頃だし、それを取に行こう。
その前に「チェックプリーズ」。
お姉ちゃんがやってきて伝票を書いてくれた。
あれっ、安いぞ、お姉ちゃん計算間違ってるんじゃないかい。
私も一緒になって魔の電卓で計算してみた、やっぱり安いね。
そこでお兄ちゃん登場、お兄ちゃんは「ミネラルウオーターの分が計算されてないじゃないか」とお姉ちゃんに言っているようだ。
あっそうだ、ごめんごめん、計算してもらう前に私がボトルを鞄の中に入れてしまったから、私がミネラルウオーター注文した事、お姉ちゃん気づかなかったんだね。
私は飲み逃げするつもりじゃなかったんだよ、本当だよ、本当だってば。
もう少しで留置所に入れられるところだったよ、危機一髪。
さて、急いで服を取に行くか。
3日連続の「ZAKKA」通い。
オーナーも私の顔を覚えてくれたようで、今日はスプライトをご馳走になった。
太っ腹だねオーナー。
オーダーしたスカートを試着してみた。
いいじゃない、かわいいじゃない、これならシャッチョウに殴られずにすむよ。
靴のオーダーもかわいく出来あがってる、これなら飛ぶように売れるよ。
なんだか肩の荷が下りた感じだよ、これで胃痛とさよならさ、今日からモリモリ食べるぞ。
両手いっぱいに荷物を抱え、またまたホテルに戻る事にした。
1日に何回ホテルに戻ってるんだろう、荷物が増えるたびに戻って、また出ていって、ボーイさんは私の事を何と思っているんだろうね。
帰ってくるたびに大荷物を抱えてるから、買い物好きの有閑マダムかな、絶対違うな、どう見ても汚い買い付け行商人だよ。
いいね、有閑マダム、今度ベトナムにくる時は有閑マダムで来たいよ。
そろそろ小腹がすいてきた、胃が痛かったわりによく食べてるよな。
ここからちょっと歩くけど、農場直営の牛乳屋「キムタイン」に行ってみよう。
プリンとヨーグルトが美味しいらしい。
そのお店に行く途中にサイゴン大教会や中央郵便局もあるから、観光がてらブラブラと歩くか。
かなり精神的に余裕が出てきたんだね、ベトナムに来て初めての観光だよ、ちょっとカメラも持って行こう。
観光に行く途中でまたまた本屋に寄り道。
昨日の本屋は地域密着型だったけど、この本屋は少し観光客を意識しているのか、絵葉書なんかも置いている。
地図も置いてたり、ちょっといい感じ。
ここで友人はテーラーの本を買った、ベトナムに来て初めての高い買い物だったらしい。
日本円で2000円程の本だったかな、日本の価値に直すと2万円ぐらいの本になるのか。
立派な本を買ったね、それであんたそんな本買ってどうするんだい。
日本でテーラー屋でも始める気かい、ほんとに変な友人だよ。
さあ、そろそろ行くよ。
サイゴン大教会の前には観光客相手の物売りの子供がうじゃうじゃいる。
この難関を突破するのは至難の技だよ。
来た来た、絵葉書売りの少女が、この子しつこいね。
プチッ、また切れた。
「ノー」って大きな声で怒鳴ったら、その少女は私に体当たりしてきた。
なんちゅう子供だ、恐ろしいよ、子供だと思って馬鹿にしてたら大変な目にあうよ。
こんな時はすばやく退散するに限るね。
教会の中のステンドグラス凄く綺麗だね、所々割れてたりするけど、その修復はどうするんだろう。
信者さんが何かお祈りしている、外のバイクの騒音とは裏腹に、この中だけ別世界のように静まり返っている。
次はその隣の中央郵便局に行ってみよう。
なんかだだっ広い、中央にベンチがある、そこに座って休憩でもしよう。
でもこの中凄く暑いね、ファンが周ってるだけでクーラーというものはないのか。
どこのお店でもそうだが、ファンが周ってるだけでクーラーがない所が多い、私が行くお店がたまたまそうなのかな。
でも意外な事にクーラーがなくても、ファンだけでも結構涼しくなるんだね。
観光終了、 牛乳屋に行こう。
この道であっているんだろうか、なんか不安になってきた。
また物売りだ、今度はアイスクリーム。
少年は私にアイスクリームを差し出す、わぁー食べたい、でも今から牛乳屋に行くんだよ、だから「ノー」
この角を曲がればきっと牛乳屋があるんだけどね。
ここで地図を広げる、それを見ていた定食屋の兄ちゃんが、あっち、って指を指して教えてくれた。
兄ちゃんに聞いてもいないのに教えてくれたっていう事は、そんなに日本人が行ってるっていうことかい。
牛乳屋に行くとやっぱりいる、バカンスOLが二組も。
やっぱりみんな行くとこは同じなんだね。
牛乳屋に来たらやっぱり頼むのは牛乳だろ、お姉ちゃんに「牛乳とプリン」を注文した。
来た来た牛乳、プラスチックのボトルがかわいいね。
一口飲んでみた、凄く濃厚、日本の低脂肪乳とは比べ物にならないよ。
次はプリン、カラメルが凄く香ばしい、昔懐かしいプリンっていう味だな、牛乳もプリンも満足満足。
食べる事に夢中になってたけど、外を見るとまた大雨だよ。
あーまたか、でもいつもお店に入っている時だからラッキーっていうえばラッキーだよな。
しばらくここで休憩だな。
私の前に座っていたバカンスOLが話し掛けてきた。
彼女たちは徒歩でかなり遠くまで行っているらしい。
昨日は私も行こうと思っているお店にも徒歩で行ったらしい、私はタクシーを使おうと思っているのに。
明日は市内から5キロもある市場に徒歩で行くそうだ、私は彼女たちの事を「チャレンジャー」と呼んだ。
車でも20分ほど掛かる所なのに、徒歩だとどれぐらいかかるのだろう、気が遠くなる。
その行く途中できっと怖い所も通るだろうに、やっぱり彼女たちは「チャレンジャー」だ。
しばらく彼女たちと話をしていたら、雨も小雨になってきた。
彼女たちが無事に日本に帰国出来るようにと願いを込め、彼女たちに別れを告げた。
さあここからまたホテルに戻るかと思っていたけど、 途中でまた寄り道。
歩いていたら、男の子がいきなり大声を出して後ろから突進してきた。
私はこの時もうやられたと思った。
めちゃくちゃビックリして、心臓が止まるかと思った。
後ろから不意な出来事で、全然身構えてなかった、だから余計にビックリした。
「なんやねん、このクソガキ、めちゃくちゃビックリしたやんか」って思わず男の子に言ったよ。
その男の子は凄く小さいけど、きっと7,8歳ぐらいなんだろうな、裸足だった。
私に向かって足げりをする真似をしたり、棒切れを持ってブンブン振り回している。
「その棒切れ私に当たったらどうするんよ、当たったらただでは帰えさへんからな、子供やからって私は容赦せえへんよ。」
その男の子はずっとついてくる、棒を振り回しながらついてくる、あんたどこまでついて来るんよ。
もう帰ったほうがいいんじゃないかい、かなり遠くまで来たよ。
もう無視しよう、相手にするから余計について来るんだ。
しばらくついてきていたけど、諦めたのかどこかに行ってしまった、あーよかった。
またまた怪しい場所を通る、ここはいわゆる歓楽街という所なのかな、なんか怪しい。
途中で工事現場の前を通った、そこで若者たちがたむろしている。
見ていない振りをした、ちょっとでも見たら因縁つけられそうな雰囲気だ。
見ないよ、見ていないよ、早くこの場から離れよう。
怖い思いをして行った甲斐があったよ、かわいいサンダル発見。
ソールの部分に貝細工が施してある、いいねこれ、今までで見たことのないデザインだ。
サイズ違いで買いだね。
買ったはいいがまたあの工事現場の前を通るのか、外もちょっと薄暗くなってきてるのに、まだいるのかな。
いるよ、まだいる、あっ私に気づいた、声を掛けられない事を願って足早に通りすぎる。
フー、セーフ、よかった。
とりあえず早くホテルに戻ろう。
ホテルに戻ってちょっと休憩、その間に絵葉書を書こう。
今日の晩御飯は何にしよう、ベトナム料理と違うものが食べたいな。
ハンバーガーが食べたい、そうだガイドブックにハードロックカフェがあったぞ、今日はそこに行こう。
その前にフロントで絵葉書を出そう。
絵葉書を持ってフロントに行った、「7000ドン」って言われたので10000ドンを渡した。
お釣りを確かめると2000ドンしかない、「お姉ちゃん1000ドン足らんよ」
お姉ちゃんは「今お釣りがないから後で返す」って言った、「それじゃ、お姉ちゃんのサイン頂だい」と私が言ったらお姉ちゃんは「私が覚えてるからサインなんて必要ない」と言った。
私はまた切れた、「そんなん誰が信用するんよ、サインサイン」
お姉ちゃんは「私は毎日ここで一生懸命働いている」と言う、私は「そんな事関係ないわ、サイン頂だい」と食い下がる、お姉ちゃんは諦めたのか、違う場所から1000ドンを持ってきて私に手渡した。
なんていうホテルだ、あるんだったら最初から渡せよ。
チェックインした時に預けたパスポートと飛行機のチケットの事が急に心配になった。
その気分悪いままハードロックカフェに行った。
ドアボーイはおじさんだ、この時おかしいなって思ったんだけど、あとには引き返せなくて。
中に入って確信した、違う、ここは偽ハードロックカフェだ、だってカウンターにいるのはおばさんだよ、お店は凄く狭いし、ハードロックカフェのグッズも売っているけど、ハードロックのRがなんかおかしいぞ。
もしこれが本当のハードロックカフェなら、私は本店に抗議のメールを送るよ。
凄い所に来たと思いながらもハンバーガーを頼んでる私ってなんなんだろう。
そのハンバーガーも厨房で作るんじゃないよ、このお店はカウンターしかないんだから、決まってるさ出前だよ。
体の大きな白人がビリヤードしてるよ。
もうここで私は終わりさ、今度こそホンダガールにされるんだ。
そんな事思いながら出ていこうとしない私はどんな人間なんだろう、自分の身は自分で守るしかないのにね。
ハンバーガー頼んだし、勿体無いだろ、自分の身とハンバーガーのどっちが大事なんだい、やっぱりハンバーガーかな。
また持ってきたよ、今度はポップコーンだ、このポップコーン食べたらいくらとられるんだろう。
今のうちに下げてもらおう、「このポップコーン下げて頂だい」
しばらく待って、来た来た出前のハンバーガー。
全然期待してなかったけど美味しいんだよね、やるじゃん、偽ハードロックカフェ。
食べる物も食べたしホンダガールにされる前に退散しよう。
「チェックプリーズ」伝票を見るとちゃんと計算されてる、いいお店じゃない、偽ハードロックカフェって言ってごめんよ。
お金を払って、お釣りを受け取る。
おいおい、足らんぞ、1000ドン足らん。
また切れた、「ヘイ、姉ちゃん1000ドン足らんやんか」もういい加減にしてくれよ。
「1000ドン持って来い」大声で怒鳴った。
お姉ちゃんは違う場所から1000ドン持ってきた、あるんだったら最初から渡せってば、この偽ハードロックカフェ。
もうなんていう国だ、油断できないぞ。


前の日  次の日